この秋、労働基準法はどう変わる?ー②上限付き罰則規定について
平成29年9月
『労働基準法はどう変わる?』というテーマで第1回の投稿を行い、その後シリーズでお届けるる予定でした。官邸と連合の合意を受けてこの秋の臨時国会で取り上げられることを前提として始めた投稿でしたが、連合側の雲行きが怪しくなったこともあり、少し間が開いてしまいました。
先週、厚生労働省が働き方改革の実行計画にそって労働政策審議会の各分科会で調査審議を行なうことを発表し、9月中旬にかけて順次開催されることになります。これを受けて労働基準法の改正に向けての動きが本格化すると見込まれます。これを受けての小職の投稿も再開したいと考えます。
第2弾の今回は働き方改革の目玉のひとつである時間外労働の上限規制について取り上げたい。
働き方実現会議ではこのテーマが議論され、3月に実現に向けた具体的な実行計画が示されてきた。6月には労働政策審議会の樋口会長から法案に関する具体的な建議が成されている。今回はこの建議を参考にしながらポイントを確認する。
<基本的な枠組み>
基本的な枠組みに関しては、本年3月に発表されているものを踏まえた形で、小職もこの段階で具体的な投稿を行った。その時のブログはこちらからご参照ください。
具体的に法律上どう組み込むかについては以下の通りとしている。
1.36協定で合意すべき延長時間
現在は、36協定で合意すべき時間は、「1日」・「1日を超えて3ヶ月以内の期間」・「1年」の3つのとなっています。この「1日を超えて3ヶ月以内の期間」を「1ヶ月」とすることが建議された。合意できる1ヶ月の上限は従来通の限度基準をそのまま適用し、45時間(1年単位の変形労働制を導入している場合は42時間)と定める予定です。実態として、現在の「1日を超えて3ヶ月以内の期間」においては、多くの届出が1ヶ月または3ヶ月でなされていますが今後は1ヶ月に統一されることになります。
2.特別条項との兼ね合い
36協定で合意した上限時間を超えることができる、いわゆる特別条項については年間6回まで、年間の超えることができる時間を720時間とすることを条件とする予定です。さらに「上回ることのできない上限」として以下の2つをクリアしなければならないと建議。
(1)2ヶ月~6ヶ月どの平均をとっても休日労働時間を合わせた時間外労働が80時間以内とすること
(2)どの単月をとっても休日労働を含めた時間外労働が100時間未満とすること
<適用除外について>
現在は自動車運転業務、建設の事業、研究開発、厚労省労働基準局指定業務、これら4つの業務と事業が労働時間の限度基準の適用除外となっている。これに対し、今回の建議では、研究開発業務は引続き適用除外とし、厚労省労働基準局指定業務を「原則として」一般側を適用する。自転車運転業務と建設事業は5年の猶予期間を設けた上で、それぞれのルールを定め、適用除外とはしないとしている。その一方、医師については5年の猶予期間を設けて、具体的な案を検討することとしている。
<この他の注目点>
このほかのポイントとして以下の注目点3点を挙げたい。これらに関しては当面は努力目標とされる見込みで、具体的な定めとならない見込みですが、今後の協議の進め方には中止したい。
勤務間インターバル制度
医師の面接指導時間
過半数代表の選出
今回の労働基準法改正により、就業規則をはじめとする社内ルールの見直しが必要となる。また、従業員の働き方を本格的に見直すことも求められる。
弊所は今後の動向に注視し、中小企業の働き方のサポートをしてまいりたい。
宍倉社会保険労務士事務所
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