働き方改革を掘り下げるー⑤ 勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備
平成30年11月
『働き方改革』を掘り下げる。個別の対応策の掘り下げシリーズの今回は第5弾です。
今回取り上げるテーマは『勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備』です。
勤務間インターバル制度の導入について
勤務間インターバルについては、『働き方改革』が叫ばれるようになったここ数年急に耳にする機会が増えてきた感がある。まずはどんな制度なのかについて簡単に確認したい。
勤務間インターバルとは
制度自体はいたってシンプルな制度です。文字通り、「勤務間」つまりは勤務と勤務の間のインターバル(間隔)を設けるという制度です。具体的には前日の終業時間から翌日の始業時間までの間隔をあけるということで、前日遅くまで仕事をした場合には、翌日は一定の時間まで仕事をしてはいけないということになります。
仮に、インターバルを11時間としている会社において、夜の11時まで仕事をした従業員は翌日の出勤を10時以降とすることになります。インターバル時間を9時間としていた場合には翌日の出勤は8時以降としなければなりません。
実際に勤務をしない時間を確保することで、体を休め疲労を蓄積させないという観点で、過重労働の防止にはきわめて有効な対策とも言われています。欧米ではこの勤務間のインターバルが実際に義務付けられている国もあるということです。
働き方改革の狙い
今回働き方改革の実行計画で取り上げられた背景は、わが国で勤務間インターバルを導入している企業の割合がわずか2.2%にとどまっていることもあり、当該制度の周知を測り、導入率の引上げを目指しています。
適切な勤務と勤務の間隔
インターバルの時間については理想的には11時間とされていますが、どんなに短くても9時間は確保する必要があると考えられています。インターバルを9時間とする場合、前述の例示の通り、導入はそれほど難しくないという印象は持ちます。
働き方改革に係る必要な対応
法改正関連
今回の勤務間インターバルに関しては「労働時間などの設定の改善に関する特別措置法」が改正されます。この法律は事業主に対して労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促進する為の法律で、具体的な努力項目の中に労働時間・休日数・年次有給休暇を与える時季・その他が明示されていました。今回の改正には上記に、深夜業の回数・就業から始業までの時間といった2つの項目を新たに加えることになったものです。
法改正による影響
今回改正される法律はあくまでも事業主に自主的な努力を促す法律ですので、事業主には新たな義務は発生しません。その意味では、制度導入も事業主が任意に選択できます。今後一定の範囲
助成金制度でのバックアップ
働き方改革の実行計画では法改正の他に助成金の制度を設けることが明記されています。実際に平成29年度に勤務間インターバル導入の助成金が新設されました。本年度は助成率を引き上げ更なる拡充を図っております。
当該助成金のリーフレットはこちらから
導入ルールの構築
勤務間インターバル制度を導入するにあたっての難しさは実際にどの様に制度に『落とし込む』かという現実的な問題です。具体的には、ルールで定めたインターバルをとることができない場合にどの様に扱うかを制度導入時にしっかり考えることといえる。本投稿ではスペースの関係上詳しい話は今後行なうとして、考えなければならない例として以下幾つかのケースを挙げる。
*取引先との打合せ等、始業時間をずらせない場合に例外的な扱いを認めるのか。
*始業時間が遅くした場合、終業時間も同様に遅くするのか。
*終業時間を遅くしない場合に賃金の控除は行なうのか
行政の今後の方向
働き方改革での、勤務間インターバル制度の導入目標は上記説明の通りだが、同様に7月に閣議決定された過労死防止大綱では2020年までに導入目標を10%とすることとしている。
今後とも、この勤務間インターバルの導入には力を入れることが大いに想定される。
ここから先は個人的な見解ではあるが、この制度は業種や会社の規模等によって比較的に導入しやすい事業主と導入が困難な事業主とがあるのも明らかであり、全ての企業に対し一律に導入が強制される可能性は低い。ただ一定の範囲内で導入を求める動きは充分想定できる。
電話 03-6427-1120
携帯電話 090-8595-5373
メール shishikura@ks-advisory.co.jp