『同一労働同一賃金』を考える。政府ガイドライン案発表されました。
平成28年12月
今年も残り1週間となりました。本投稿が本年最後のものとなろうかと思います。 本年も大変お世話になりました。
さて、最後の投稿は、先日発表されました『同一労働同一賃金』の中間報告についてです。この『同一労働同一賃金』については、安倍政権の目玉政策として注目を集めておりますが、9月以降開催されている「働き方改革実現会議」の第5回会議が12月20日に開催され、ここで中間報告が行なわれました。詳細は首相官邸のサイトで発表されておりますので、ご確認頂ければと思います。今回の中間報告のポイントは「『同一労働同一賃金』のガイドライン案」が発表になっていることです。
このガイドラインでは、<基本給>、<手当>、<福利厚生>それぞれの局面において、具体的なケーススタディをベースに、どのような場合が「問題となるのか」・「問題とならないのか」を例示しており、大変分かりやすい内容になっております。内容は盛りだくさんですが、お忙しい方でも少なくても 「資料3 同一労働同一賃金ガイドライン案」をご覧頂ければと思います。サイトはこちらをクリックしてください。
今後の流れ
中間報告でも触れられていますが、今後はこの政府のガイドライン案をもとに、法改正の立案作業を進め、改正法案・国会審議を経て最終的に確定するものとなります。現実問題としては法制化にはまだ時間がかかると考えられます。現時点では「こうした方向で協議されている」という認識程度にとどめるのが良いかと思います。一方で、既にこの『同一労働同一賃金』という観点での注目すべき判例が出ているということです。長沢運輸事件やハマキョウレックス事件がそれにあたるといえます。
注目の判例(ハマキョウレックス事件)
本年7月に大阪高裁で下された判決に多くの注目が集まった。小職もこの裁判についての投稿を行った。小職のサイトをご覧頂くにはこちらをクリック頂ければと思います。
この裁判は物流会社であるハマキョウレックス社で契約社員として働いていた従業員が正社員と契約社員の賃金の格差是正を訴えたものである。ポイントは、待遇上、設けられている各種手当について、契約社員も正社員同様に支給されるべきかどうかというもので、判決では具体的にどの手当が支給されるべきかを明らかにしている。今回の『同一労働同一賃金』のガイドライン案で示されているものも、この内容に沿ったものである点注目に値する。
最後に
『同一労働同一賃金』の考えが最終的にはどのような形で制度化され、事業運営上どのような影響を及ぼすことになるのかは現時点では分かりません。ただ、手当を含めた賃金の制度は一朝一夕に変更できるものではありません。制度が決まってから急に考えて対応するということには限界がありますので、賃金の制度に関してはゆっくりと準備を進めていくことをお勧めします。
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