働き方改革推進の法整備に関する法案要綱ー労働基準法の改正案③ 企画業務型裁量労働制について
平成29年12月
「働き方改革を推進するための関係法律の整備」における労働基準法改正の改正案について、これまではその全体感と時間外労働の上限規制について解説しました。今回は労働基準法の改正案解説の第3弾として、企画業務型裁量労働制についてまとめて解説します。
企画業務型裁量労働制
<法改正案>
企画業務型裁量労働制については重要な改正のため、少し詳しく要約します。
1.対象業務として以下の2つを追加
(一)事業の運営に関する事項について繰返し、企画・立案・調査及び分析を主として行なうとともにこれらの成果を活用し、当該事業の運営に関する事項の実施状況の把握及び評価を行なう業務
(二)法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査及び分析を主として行なうとともにこれらの成果を活用し、当該顧客に対して販売又は提供する商品又は役務を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務(主として商品の販売又は役務の提供を行なう事業場において当該業務を行なう場合を除く)
2.対象業務に従事する労働者は厚生労働大臣が定める基準の知識・経験を有するものに限る
3.対象従業員の健康及び福祉の確保の為に厚生労働大臣が定める措置のから労使委員会の決議を経て使用者が講じる
・(1)終業から始業までの時間の確保(インターバル)
・(2)労働時間が一定の時間を超えないようにする
・(3)年次有給休暇のほかの有給の付与
・(4)健康診断の実施
・(5)その他
4.厚生労働大臣が「適正な労働条件の確保のための指針」を出すので、労使委員会はこの指針に適合しているようにしなければならない
5.行政官庁は厚生労働大臣の指針に適合しているかについて必要な助言指導を労使委員会に対して行なう
6.企画業務型裁量労働制において対象者の裁量にゆだねるものに始業時間と終業時間が含まれることを明らかにすること。
なお、上記3と6は専門業務型裁量労働制についても同じ改正とする。
<法改正のポイント>
今回の改正案には2つの対象業務が追加された。法案要綱には一般的な営業は対象としない旨の注意書きがあったが、これが実際にどのように定められるのか、実際の条文がどのようになるか・厚生労働大臣の指針や通達等で発表になるのか確認したい。また、3・4については厚生労働大臣による指針がどのようになるかによって、実際の制度運用が大きく影響されるので、この指針を見てみないことには具体的なコメントはしにくい。
これらが具体的に発表された時点で改めて解説することとしたい。
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