働き方改革を掘り下げるー① 同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備
平成30年2月
『働き方改革』を掘り下げる。毎回、個別の対応策の掘り下げるシリーズの今回は第1段です。
実行計画の具体的対応策その1である、「同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備」を今回は取り上げる。
『電通事件』をきっかけとして最近は『過重労働』の方がクローズアップされがちですが、働き方改革のいわゆる一丁目一番地はやはりこのテーマといえます。
前提として認識すべきこと
『同一労働同一賃金』は正規と非正規の格差是正を目的としたものだる点、留意が必要です。また、ここで言う『非正規』とは、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者を指します。
働き方改革においては、この非正規労働者と正規労働者の間には合理的ではない、不公正な待遇の差が存在すると考えているという事実があり、これを是正することがこの具体的な対応策です。
『ガイドライン』の位置づけ
同一労働同一賃金に関しては、平成28年12月に開催された第4回の働き方改革実現会議において『同一労働労働同一賃金のガイドライン』が発表されています。ガイドラインの発表時に詳細を取り上げた投稿をしておりますので、興味のある方はこちらから当時の投稿をご確認下さい。つまり、働き方実行計画が発表される前に当該ガイドラインが発表されております。この対応策は以下の2点を具体的に行なうものとなります。
① ガイドラインそのものを整備を継続する。最終的には国会審議を経て最終確定させる
② ガイドラインに実効性を持たせるために法律を整備していく
ガイドラインの具体的な内容
ガイドライン案は、上記の通り、正規労働者と非正規労働者の間での不合理な格差を是正する目的で作成されました。問題は『不合理な格差』とは何か?ということです。ガイドライン案は、基本給・手当・福利厚生など、それぞれの賃金項目において、具体的な事例に踏み込んで、どのようなケースでの格差が合理的(問題がない)で、どのような格差が不合理(問題となる)なのかについて示しております。大変参考になるので、是非ガイドライン案をご確認下さい。こちらからアクセスできます。
具体的な法整備の内容
上記で挙げた『法整備』では具体的に何をするのか?
① 有期雇用労働者に関する均等待遇
パートタイム労働者に対してはパートタイム労働法で一定の法整備ができているので、有期雇用労働者もパートタイム労働法の対象とするように含める。結果として有期雇用労働者の均等待遇が定められている労働契約法20条を廃止する。
② 派遣労働者に対する均等待遇
派遣労働者の場合は、派遣先における労働者との均衡が問題となる。派遣労働者は派遣元事業主に雇用されている労働者である。均衡待遇の義務は一義的には派遣元事業主にあることになるが、派遣元事業主は派遣先の事業場における労働者の情報を保有していない状況が一般的。そこで、均衡待遇の確保ができるように派遣先の事業者に対して一定の義務を課す法整備が必要となる。
③ 待遇差に関する説明義務
待遇の差については具体的な義務を課すこととなっております。
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