働き方改革を掘り下げる-②非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進
平成30年3月
『働き方改革』を掘り下げる。個別の対応策の掘り下げシリーズの今回は第2弾です。
今回は具体的対応策② 「非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進」を掘り下げます。
前回整理した「同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備」とあわせた2つの対応策で検討テーマ1『非正規雇用の処遇改善』に対応することとなります。
対応策①との相違点
この2つの対応策の違いについて簡単にみてみたい。対応策①の「同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備」では、正規雇用と非正規雇用の『不合理な』待遇差を是正することを目的としていました。つまり、一定の処遇の差についてはその存在を認めつつ『不合理な』部分について是正するという考え方でした。これに対して、今回取り上げる② 非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進は、「非正規をなくしていきましょう」・「正規社員と同じ扱いにしていきましょう」という考え方がベースにあります。
非正規労働者は大きく3種類の労働者に分類されますが、直接の雇用主が派遣元事業主となります派遣労働者を除き、残る2種類の労働者である短時間労働者及び有期雇用労働者については正規雇用の労働者と同じ扱いとなるようにしていきましょうということが原点にあります。
具体的な3つの施策
『非正規』と呼ばれる前述の2種類の労働者の処遇を正規職員と同じものにしましょう。或いは、それに近づけるために何をするのか?ということがこの対応策の本質になります。具体的にはまず、行政側がとる施策がどのようなものとなるかということですが、3つの施策が示されています。
1.同一労働同一賃金の実現など非正規雇用労働者の待遇改善に向けた企業への支援
正規労働者と非正規労働者の間で異なる処遇となっている場合に、非正規労働者にも正規労働者と同じ処遇としたり、適用する規定の共通化を図るなどの動きに対して助成する対策です。典型的には非正規から正規への転換を行った場合のキャリアアップ助成金や同じ賃金の規程を適用する場合の助成、こうした枠を広げていく動きです。
つまり、『非正規の従業員に対して正規従業員と同じ扱いにしたら助成金を出しますよ』とすることにより非正規雇用の待遇改善を後押しするということです。
2.労働契約法に基づく無期転換ルールの円滑な適用
非正規雇用労働者の一つである有期雇用労働者。この有期雇用労働者が無期雇用の労働者に転換される流れをサポートする施策。具体的にはシンポジウムやセミナーの開催を通じて制度の周知徹底。その他相談業務やモデル就業規則の作成等を行う。これにより、できるだけ多くの有期雇用労働者が無期雇用労働者に転換できるように行政として後押しするということです。
3.被用者保険の適用拡大
社会保険の適用拡大は既に行われているが、この適用拡大を円滑に行う。同時に更なる拡大が必要かどうかについて検討を行う。当該検討は2019年9月までに行うとしている。
これら3つの施策を通じて、非正規雇用の処遇が正規雇用の処遇と同じになるように働きかけるというのがこの対応策です。
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