労務管理総合診断とは何か
平成28年以降、労働に関する世間の意識が大きく変化しつつあります。過重労働による自殺の事件が労災認定されたことをきっかけとして、また政府が推し進める『働き方改革』も大きく影響して、個々の労働者の「働き方」・会社側の「働かせ方」が大きな注目を集めているといえます。
その一方で、会社の現場における労務管理の実態はこの状況に必ずしも追いついておりません。
東京労働局で非常勤の職員として労働相談を担当している弊所所長が「労務管理上何に注意しなければならないのか?」「問題があったときにどのようなリスクが発生するのか?」労務管理の総合診断を通してサポートいたします
労務管理総合診断の必要性
労務管理が適切に行われているかについては、実際の管理業務がどのように行われているのかを確認しなければ判断できません。せっかく良い就業規則を作成していても、実務がその通りに運用されていなければ意味がありません。ルールは作ったが届出を行っていなかったためにルールが無効になったり、ルールの運用方法が間違っているためにルール全体が否定されることはよくあります。また、法改正や制度改正によって会社側が行わなければならないことも変わってくる場合があります。就業規則や労働契約がどんなにしっかりしていても、正しい管理が行われていなければ無意味になることもあります。労務の管理については社内での内部監査をしっかり行うか、専門家に相談すると良いです。
労務管理診断における代表的な項目
ここでは労務管理の診断が必要となる代表的な項目とそのチェックポイントについて簡単に解説します。これらの項目やポイントは必要な診断の一部ですので、その点を意識いただき、専門家にご相談下さい。
労働時間のルールは適切ですか?
・労働基準法で定めている「法定労働時間」は正しく理解され、守られているのか?
・法律で許されている変形労働時間や裁量労働制は法律に沿って正しく導入されているのか?
・必要な手続は行われた上で導入されているのか?
・労働時間の管理は適切に行われているのか(タイムカード等)?
・『管理監督者』は適正に選定されているか? ほか
これらに問題がある場合、会社側が予測をしていないトラブルや賃金の未払いが発生したり、行政からの思わぬ指導を受けることがあります。
賃金の計算は適切ですか?
従業員とトラブルになる最も多いケースが賃金の計算と支払いについてで、これが正しく行われていない場合は、訴訟にいたるケースや行政の是正勧告を受けるケースが多く見られます。
・労働時間は1分単位で管理して、それに対して正しい賃金を支払っていますか?
・時間外労働の賃金は正しく計算して支払っていますか?
『一定の残業代は給料に含んでいるんです』とする場合に特に注意が必要です。
・賃金から控除をする手続は正しく行われていますか?
労働者との労働契約等はちゃんと結んでいますか?
労働基準法では労働者に対して会社側が労働条件を明示する義務があることを具体的に記述しています。従って、労働者がパートやアルバイトといった非正規雇用者であったとしても、労働条件の明示を行わないと法律に違反することになります。さらに、より重要なのは、これらを明示しないことにより後に大きなトラブルに発展するケースが多く見られます。代表的なものとして
・労働する条件(労働日数や時間)がどうなっているのか?
・賃金が何に対して支払われているのか(時間外労働分を含んでいるのか・いないのか、など)?
・休日はあるのか、有給休暇は取れるのか?
こうしたことは頻繁にトラブルの原因となります。正しい労働契約の締結をする必要があります。
最後に
上記の、診断項目は必要なもののほんの一例です。適切な労務管理が出来ていない場合は、思わぬ形での従業員とのトラブルや行政からの指導を受けることとなり、会社や経営者が行政処分を受けるリスクも発生します。自社の内部監査、外部専門家の監査等様々なサポートが得られますので、早期の診断をお勧めします。