制度改正情報 育児休業の最長2年とはどういうこと?
平成28年12月
先日、12月7日に行なわれた労働政策審議会で『育児休業の延長』(現行の最長1年半から2年まで)が合意された。来年の通常国会に提出されて、早ければ秋には施行されるとのことである。この現行の最長1年半とはどういうことなのか?そして最長2年に延長されるということがどういうことなのか?これらの点について確認したい。
<現行制度の原則>
まず、現行制度についてですが、育児介護休業法(育介法)の5条に定めがあります。育児休業とは、原則として『一歳に満たない子』を養育している場合に適用される制度です。特例として、本人と配偶者がそれぞれ育児休業を利用する場合に、育介法の9条に定める通り、1歳ではなく、1歳2ヶ月まで取得することが出来る(パパママ育休プラス)が利用できます。ただ、あくまでも原則は1歳まで利用できる制度です。
<最長1歳6ヶ月とは?>
上記で説明の通り、原則はあくまでも1歳までしか取得できない制度です。では、どのような場合に1歳6ヶ月まで利用できるのでしょうか?育介法5条3項に具体的に定めています。
①1歳の時に育児休業を取っていること
②厚生労働省で定める『雇用継続の為に特に必要』な場合に該当すること
この2つの条件をクリアすれば1歳6ヶ月まで延長できるとされています。
<『雇用継続のために特に必要』とはどういう条件なのか>
こちらに関しては育介法の施行規則に定めがあります。①、②のいずれかの場合が当てはまります。
① 保育所等の利用を希望しているのに1歳に達しても利用できない
② 常態として1歳以降養育を行なう予定だった子の親が
—イ 死亡した
—ロ 身体・精神の障害で養育することが困難になった場合
—ハ 離婚などで同居しなくなった
—ニ 産前(6週間)産後(8週間)の期間に入った
すなわちは、1歳以降での育児を予定していた配偶者が何らかの理由で育児が出来なくなった場合ということになります。
<最長2年が意味するところ>
今回、労政審で合意された、『最長2年』とは何なのか?あくまでも、原則である『育児休業は1年』という概念は変更せず、『雇用継続のために特に必要』であった場合に、現行の1年6ヶ月ではなく、2年まで延長できるというものの様である。最終的に国会で審議されてどのように制度化されるか分かりませんが、全面的に2年になるということではないことに注意が必要です。
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