『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置』の新ガイドライン
平成29年2月
昨年12月に『『過労死ゼロ』緊急対策」が長時間労働削減推進本部より発表されました。この緊急対策に対し、具体的な内容や通達が先日1月20日に発表となり、注目を集めています。
ポイントは①新しいガイドラインが発表になったこと②企業名公表制度に関して少し具体的な内容が説明されたことです。 今回はこの『新しいガイドライン』について注目すべきポイントを解説します。(企業名公表については次回説明します)
厚生労働省から今回報道発表された内容をこちらから確認下さい
新ガイドラインですが、これは現在の『労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置』とされていたガイドラインに代わるもので、これまでのガイドラインが廃止され、今回の新しいガイドラインに置き換えられることになります。恐らく1~2ヶ月のうちに厚生労働省から新しいリーフレットが発表されるかと思います。
今回注目すべき変更点は2つあります。
① 労働時間について1歩踏み込んで言及されていること。
『使用者の明示または黙示の指示』により労働者が業務に従事する時間とされておりますが、具体的な事例を踏まえた考え方が示されています。制服への着替え時間や研修会や教育訓練への参加について労働時間となるのかどうかについて示されています。
② 自己申告制度における時間の管理を徹底
仮に時間管理の手法として、「自主申告制度にしていたとしても、事業場内にいた時間が把握できる場合に労働者の自主申告との乖離が大きい時は実態調査しなさい。」ということが明確にされました。
また、「これは休憩です」とか「自主的な研修・教育訓練・学習です」というように、本人が自らの自己申告としては『労働時間ではない』と言ったとしても、しっかり確認して、場合によっては労働時間として取り扱いなさい。ということも明確にされています。
さらには、「労働時間が長くなってしまったので、記録上労働時間とならないようにする」といったことがないようにしなさい。とも具体的に示しています
いずれも昨今の電通や三菱電機で具体的に見られた問題点を盛り込んだ形である。一連の長時間労働の問題では、今回指摘されているような『記録の改ざん』や労働者による『これは自習でした』といった説明があったと言われています。今回のガイドラインにはこうした長時間労働の温床となりうる「これまでの慣習」に対してメスを入れたものといえます。
今回の狙いは、使用者側に『言逃れの余地』残さないようにしたものと考えられます。
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