過重労働の防止
『行政とのかかわり』
弊所、所長である特定社会保険労務士宍倉健作は、平成28年度は東京労働局労働基準部監督課にて『労働時間管理適正化指導員』として勤務致しました。任期を終えた現在も引続き相談員として月に数回の勤務を行っております。
監督課は都内18箇所ある労働基準監督署(労基署)を監督・指導する立場であると共に過重労働の撲滅には重要な役割を担っております。
監督課勤務で培ったノウハウや知識を少しでも皆様に還元したいと考えております。様々な相談や指導を通して見える現状や留意点について、適切な相談・アドバイスをさせて頂きます。
近年の動向
ここ数年過重労働の防止に向けた動きが加速しています。政府及び行政が具体的な施策を次々と打ち出しています。昨年(平成28年)に発生しました広告代理店における過重労働による過労死自殺という痛ましい事件が大きく注目されたことも今後の施策に大きな影響をもたらす可能性が高いといえます。
ここで近年の注目すべき行政の対応と政府の動きを確認します。
[過労死等防止対策推進法とこれに伴う行政の対応]
平成26年11月にこの推進法が施行されました。施行後に厚生労働大臣直下に「長時間労働削減推進本部」が設立されました。平成27年4月には東京・大阪両局に「過重労働撲滅特別対策班」(通称:かとく)を設置、28年4月からは労働時間の長い事業場への取締り強化として取締り対象企業の範囲を拡大するなど行なっている。平成28年12月には「『過労死等ゼロ』の緊急対策」を発表したことが話題となっている。
[働き方改革実現会議]
安倍総理大臣の重点施策のひとつが「働き方改革」であります。平成28年9月よりこの「実現会議」が首相官邸主導で動き始めました。平成29年3月に具体的な実行計画が決定されております。特に注目すべきは、罰則付時間外労働時間の上限規制といえます。実際の施行までは5年ほど必要とされていますが、重要な一歩といえます。
具体的な動き
「新ガイドラインの発表」
「『過労死等ゼロ』の緊急対策」の一環として平成29年1月に新たなガイドラインが発表されました。
弊所のブログでも12月に取り上げています。ご覧になりたい方はここをクリックしてください。
「企業名公表」
「『過労死等ゼロ』の緊急対策」の一環として悪質な労働関係法令違反の企業を行なった企業の企業名を公表することとなっております。厚生労働省は平成29年5月10日に300社を超える企業名の公表を行ないました。
「罰則付き時間外労働時間の上限」
働き方改革実現会議の重点施策の一つで、平成29年3月に労使間の合意を得て、今後法整備が進められることとなります。
事業所がなすべき対応
過重労働の問題は社会的にも大きな注目を集めておりますが、行政の対応方針や法整備も着実に進められており、各事業会社においては真剣な対応が求められることになります。罰則や罰金を含めた刑事上、行政上のペナルティーのリスクが高まっていることに加え、企業名の公表という『社会的な制裁』も受けることになります。こうしたリスクを回避するためにこれからは益々労務管理の徹底、就業規則をはじめとした社内ルールの整備・徹底、働き方を見直すことも重要な作業になってまいります。
弊所では過重労働削減のサポートをはじめ、労働時間管理のあり方や就業規則をはじめとした社内ルールの作成、各種アドバイスを提供しております。お気軽に相談下さい。